太宰の「葉桜と魔笛」を読む

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今日も太宰の短編を読んだ。

「葉桜と魔笛」

妹は腎臓結核を患っていた。
余命いくばくもない。
そんな妹に手紙が届く、差出人はMT。

姉はこの差出人を知っていた。
妹の文通相手だ。
自宅で手紙の束を見つけ、読んでしまっていた。
姉は手紙の密かな読者だったのだ。

妹の病気を知り、最後に送られてきたMTからの手紙。
その結末を知っていた姉は、
その手紙を焼き払い、筆跡を似せ、自ら書き直した。
それを妹に送ったのだった。

精一杯前向きな内容に変更され、妹に届けられた手紙。
しかしそれはすぐにばれる。

実は文通自体、恋愛経験のない妹の創作だった。
MTとは妹に創作された架空の人物だったのだ。

美しい姉妹愛だが、このお話はそれだけでは終わらない。
姉が妹に送った手紙の一文

「壁の向こうから毎日、口笛を吹く」

これが誰とも知れず、実行されるのだ。

短編ながらも、話が2転3転し、とても面白かった。
読みやすかった。
この内容なら、長編にすることもできたのでは。
短編になっている事自体を、太宰らしいと思った。

太宰の短編も、読んでいる本の中にはあと3話。
その他に別の著者の「太宰治伝」と「作品解説」がある。
作品解説は、あとで答えあわせのように読んでやりたいと思う。

太宰治伝は気が向いたら…
太宰の作品を読もうと買った本で
別の方の文面を読むってのがどうにも抵抗があるんだよな…

読書

Posted by きかんほうさん