太宰の「人間失格」を読む2

人間失格,太宰治,読書

今日も読書。

「人間失格」の続き。

前回は第一の手記までしか読んでいなかった。
古い書籍独特の読みにくさはあるが、長い話ではない。
なんとか今日、読了することができた。

痛ましい内容。
途中でモヤモヤし始めて何度か本を閉じた。
でも先が気になり、また本を手に取る。
そんな事を繰り返しながら読んでいたら、1日かかった。

この作品の主人公は犯罪者ではない。
おそらく普通の人間なのだ。
結果的に間違いを重ねた事になるが、
では何が間違いだったのか、何が悪かったのか
非常に考えさせられる。

まずこの男は非常に臆病である。
そのくせ命に対する概念が希薄である。
なんでもそつなくこなすので得手不得手もない。
食事は形だけ、食欲もなければ味の好みもない。
悪意も善意もなく、自己主張するわけでもない。

芯がないどころの騒ぎではない。
何もない臆病な人間ゆえに流されて、流されて、
人を巻き込んで。
果ては何度でも最悪の結果に至るのである。

自分の意思で立って、歩いて、ゴールを目指す。
それができる人間がどれほどいるだろうか。
信念を抱えて生きている人間がどれほどいるだろうか。

あらゆる道が狭められ、難しくなり、
なぁなぁで、流される事を許容して。
望んだ結果ではなくとも、それらしい結果に
満足するように自分を納得させて。

そんな現在社会では
誰にでも起こりうる物語ではないだろうか。

人間失格を読んでいると
主人公が天使にも悪魔にも見えてくる。
気が付くと寒気すら感じるようになっていた。
誰にでもありえるというリアリティが
そう感じさせたのであろう。

しかしやはり、自分とは似ても似つかなかったな。
なんでこんなにモテるんだよ。

「金と女と人望はある人間の失敗談」

結局こんなとこである。
臆病であるがゆえに目の前の幸せにさえ
臆して逃げ出すとか解せぬ!

ああ、幸せっておいしいのかな。

読書

Posted by きかんほうさん