芥川の「河童」を読む

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芥川の「河童」をようやく読みきった。

最初は変わった趣向に引き込まれていったのだが
思ったよりも政治や宗教色の強いお話だった。

ある男が河童を捕まえると
河童の世界に引き込まれていく。

河童の世界と人の世界は実は良く似ていて、
しかも実際につながっているのだ。
そこでは人と同じような生活が営まれていた。

その河童の世界がなんとも
学生運動が盛んだった頃の日本のように思われて

河童の世界とは実はある大学の社会主義的なサークル
もしくはそれに似た何かを揶揄しているのではと思われた。

皮肉に皮肉を重ねたその内容はなんとも
世の中をフカンで見た結果、全てをあざ笑うかのようで

我々がいつも見ているものとは、
物事の一つの表面に過ぎないのではないか?

それを美しいものと捕らえようとするのは
理想を押し付けているだけなのではないか?

人の価値観とは、真なる部分とはなんなのか
善意とは?悪意とは?愛とは?美しさとは?

すべてが実は理想でしかなく、
案外滑稽なものなのかもしれない。
そんな内容のお話で。

私は、自身も悩んで迷って失敗して
いろいろと経験して苦しい時期も多くて、

その結果、前に進む事を大前提に動くようになり
一つ一つの事象を難しくとらえること事態が減っているせいか
この作品はあまり響かなかったのだけど。

若い頃、社会を斜にみすぎて病んでいた時代があった。
そんな時に読んでいたら凄く共感してしまい
引き込まれていたのかもしれない。

世の中、斜に見ようとすればいくらでも見れる
けれども、真実がわからない以上
理想を押し付けているくらいの方が
精神衛生上、好ましいのではないか。

世の中は、プラス思考でいたほうが楽しいし。

もっとも、それで苦しい思いをする人もいるのかな?
人の心とは、難解なものです…。

オワリ。

読書

Posted by きかんほうさん