芥川の「地獄変」を読む

地獄変,芥川龍之介,読書

芥川龍之介を読み進める。
というか既に2話読んでいるのだが
PC不調騒動でそれどころではなかった。

「地獄変」
これはちょっと胸糞の悪い話である。

地獄変とは地獄変相図の略。
地獄を描いた絵の事である。
地獄はおっかねぇとこだから!だから良い行いをしよう!
というような事を伝える為に描かれたものだという。

はるか昔、良秀という絵師がいた。
地獄変を描かせたら右にでるものはいないのだが
性格も口も悪く嫌われ者の変人。
しかし、たった一人、自分の娘にだけは愛情を注いでいた。

彼の絵の描き方。
見ていないものは描けない。
つまり地獄を描くなら地獄を見る必要がある。

連日の悪夢や、動物を弟子にけしかけて驚いた様など
それで9割完成したといっていい地獄変。
しかし良秀には描けない部分があった。

そしてその部分の為に、地獄変完成の為に
最愛の娘を火あぶりにかけてしまう。

こ…この時のためにこいつぁ…なんて勘ぐってしまう。
もちろん物語の中でも良秀は批判の嵐に晒される。

その後、良秀は地獄変を完成させて自害。

作品だけが世に残るのだが、その作品は
良秀を正面から批判していた坊主でさえ

「あのやろうやりやがった…」

と言わせる程の出来栄えであった。

途中から「良秀おい」と感じていた俺は
完全に坊主視点であり
「絵の為に娘をこのやろう」くらいの心持であったのだが
その坊主が納得してしまっては怒りのやり場に困る

実際に地獄変を見た坊主と
文字列の読者でしかない俺ではそもそも違うのだ。

さて、坊主が見た地獄変とはどんな作品であったのか。
批判を覆してしまう程のパワーをもった地獄の絵。

興味深い。

読書

Posted by きかんほうさん