読書

芥川の「点鬼簿」。

これは芥川自身の日記のような作品。
太宰でもあった、こういうの。
この二人の一部の作品は現在で言うところの
ブログに近い。そんな気がする。

点鬼簿とは過去帖の事。
死者の俗名、法名、死亡年月日を書き記した物らしい。

「僕の母は狂人だった」

という一文から話は始まる。

なんだ私と同じか

この母はキセルでタバコを吸うようなのだが
物静かな狂人と表現されている。
芥川は何度もキセルで殴られたようだ。

そういうわけなので、芥川は幼くして養母に引き取られる。
狂人の母はその後亡くなってしまう。

芥川には姉が居るが、実はもう1つ上にも姉が居た。

父母から最も寵愛を受けたその娘は
芥川が生まれる前に亡くなってしまったらしい。

自宅に写真が飾ってあったり伯母から話を聞いたりで
なんだか存在感のある姉。

40くらいの女人がいつでも自分を見守っている
そんな気がすると芥川は感じている。
おそらくはこの娘、初子の事だろう。

父親は、養母に引き取られた芥川を
何度も説得して連れ帰ろうとしたようだ。
牛乳屋で成功を収めている人だったが
短気でプライドが高いらしい。

いろんな格好品で芥川を釣ろうとしたが玉砕。
そして芥川が28の時に入院。

お見舞いに行くと母とのなんてことのない
話を聞かせてくれたりした父親。
しばらく病院に泊り込みで看病していたが
芥川は飽きて少しの間逃走。

その間、知り合いの新聞記者と芸者遊び。
途中、声をかけてきた謎の女がいたが
その時は気にもせず…初子とでも思ったのだろうか。

そして父親死亡。

火葬場で父の灰を見た時に
父親だけは何か違うと感じ取ったらしい。
それはおそらく、疎外感。

一番構ってくれたのは父親だったのだが
最も覚えているのは
あまり関わりをもたなかった母親の死だという芥川。
そしてあったこともない姉には守られてる感。

親父は!?

この作品、時系列的に
芥川自身が亡くなった頃に書かれた作品ではないだろうか。
言わんとしていることはなんとなくわかるのだが

私はなんだか釈然としなかった。
おそらく読む人の気分や状態によっても
見方が変わってくるだろう。そんな作品。
モヤモヤします…

芥川も残すところ長編があと2話。
とくに「河童」は、ページ数も多く時間がかかりそうです。

オワリ。