読書

「旅に病むで夢は枯野をかけめぐる」

松尾芭蕉、辞世の句。
故人となる五日前に読まれた一句

このお話は、芭蕉の最期を囲った者達の
心情を書いたもの。

すでに動くこともできない芭蕉。
静かな雰囲気の中、筆に水をやり、
一人づつ芭蕉の口を濡らして行くのだが
それぞれに思うところあり

例えば師との別れをなんとなく想像していたが
若干の安心感をもってしまった者もいて
それを悟った者同士が目を合わせると
不謹慎なその気持ちを悟られまいと視線をそらす

口にはださない感情の流れというか
そういう微妙な雰囲気が書かれているのだが

天下の大俳人の最後とはいえ
周囲の人間の心情なんて現実こんなもんだよねと
そんな冷めた気持ちで読んでしまっていた

しかし最後の最後にはしっかり
葬儀のような気持ちにさせられてしまい
目頭が熱くなりなんとなく黙祷してしまうような作品

その最後の心情だけが心に残り
それ以外の細かいことはまるで頭に入らず

ん?どの弟子がなんだっけ?

何度か読み直して感想を訂正しようと思ったが
やっぱりやめた

作品がアンニュイな感じだと感想もなんだか…
文章でありながら感情に訴えかけることに
重点を置いた作品…なのか?

あああ。

おわり。