「文明崩壊」を読む

ジャレド・ダイアモンド,文明崩壊,読書

最近は太宰の感想文ばかり書いていたので

たまには別の本の話。

 

「文明崩壊」というタイトル。

著者ジャレド・ダイアモンド氏。上下二冊構成。

 

実は10年くらい前に読んだ本。

洋書の和訳本を読んだのはこれが初めてかも。

その読みづらさから二度と和訳本には手を出さないぞ!

と思わせられた本である。

 

そもそも、なぜこの本を手に取ったのか。

表紙のイラストがかっこ良かった事もあるが。

ずっと以前から人生で悩みまくっていた俺は

 

人が滅んだ原因がわかれば、

自ずと先も見えてくるのではないか?

という思いからこの本を読み始めたのである。

 

最近は自己啓発本やメンタルヘルスなど、

精神的な視点から人を語る本を読むことが増えたが

この本は歴史的・物理的な視点から人を語っている。

話は原始時代にまで遡る。

 

人類の祖。

魚や動物、木の実などを取って食べる狩猟採集民族。

そして農耕によって食料を得る農耕民族。

 

多くは狩猟採集から、

大量に食料を育てて備蓄も可能な農耕にシフトしていく。

 

だが大地にも限界がある。

生まれた大地が肥沃な土地ならいいのだが、

痩せた土地であれば植物はすぐに育たなくなる。

 

近代以前は、戦争の原因といえば干ばつだった。

植物が育たなくなれば、食料不足に陥り、

それが文明崩壊や侵略戦争に繋がったのである。

 

現代は飽食の時代といわれ、食糧不足を原因とした

文明崩壊や侵略戦争などは起きない。

 

ところが、戦争はなくならない。

すでに別の要因にシフトしているのだ。

お金。権力。宗教。

要因を取り除けば別の要因が生まれる。

 

人の世から戦争が無くなる事はないのかもしれない。

 

本書では、イースター島の話にも触れる。

島国は比較的侵略の影響を受けにくい。

規模の小さな世界で、侵略の危険も少なく、

一見、平和の維持も容易そうに見える島国だが、

 

イースター島には木がない。

 

なぜ、木が無くなったのか。

そして、最後の一本を切り倒した人はどんな気持ちだったのか。

 

下巻にはいると、ルワンダでの大量虐殺の話が語られる。

モラルハザードの最たる例。

モラルが爆発すると人はどうなるのか。

他民族や他国との戦争はまだ想像できるだろう。

しかし、身内同士でこんな事が起こりえるのか。

 

戦慄せずにはいられない。

 

イースター島やルワンダの事件は恐ろしいが、

誰しもに一度は良く考えて欲しいと思う。

 

人類は昔からずっとろくでもない。

それでもなお、人類は繁栄しているし、地球は回っている。
結構なことだ。

読書

Posted by きかんほうさん