太宰の「トカトントン」を読む
太宰の「トカトントン」を読んだ。
誰も言わないだろうから俺が言ってやる。
太宰よ!いいのかこれで!こんなのありか。いいけど。
いいか。
…終戦後、郵便局に勤めている男がファンとして
ある作家に送った手紙。
それは質問状に近い内容だった。
男は、定期的に貯金に来る女中に恋をしていた。
しかしその貯金は、戦後間もない日本では異常な金額。
いつしか男は疑問を抱くようになる。
ある日、女中に声をかけられ、海に呼び出される。
そして貯金の話になった。
「おかみさんの貯金を代わりにしている」という内容だった。
男の疑念は晴れなかったが、その時、音が聴こえた。
「トカトントン」
金槌で釘を打つようなその音は
男から感情を、情熱を奪い去るものだった。
この音を聴くと、男はどうでもよくなってしまうのだ。
その後も男の胸を打つ事象が起こるたびに
「トカトントン」
と音が聴こえ、無気力になってしまう。
私はどうしたらよいでしょうか、という内容の手紙だった。
だったのだが。
最後。手紙を書いている途中でも度々
「トカトントン」
と音が聴こえていたと告白、
しんどくなってイヤイヤ手紙を書いていて
実は手紙の内容さえ適当で、あったかどうかもわからな
* *
* + うそです
n ∧_∧ n
+ (ヨ(* ´∀`)E)
Y Y *
え?なんだって?
思わずこのアスキーアートを使いたくなる内容だった。
このAA、この作品のために生まれたんじゃないか。
だってこの話、9割はこの手紙の内容ですよ。
無かった事にしちゃうとか?衝撃的ではあるけれども!
「トカトントン」
なんだか俺にも聴こえたぞ。すごい話だなこれは。
しばらく目が点だった。マックで。
そして、この手紙を受け取った作家は短く返事をする。
拝啓、気取った苦悩ですね。あまり同情していません。
いかなる弁明も成立しない醜態を、避けているようですね。
真の思想は、叡智よりも勇気を必要とするのです。
「身を殺して霊魂(たましい)をころし得ぬ者どもを懼るな」
「身と霊魂(たましい)とをゲヘナにて滅ぼしえる者をおそれよ」
この言葉でこの物語は幕を閉じる。
身に染みるお言葉。
醜態を晒す事を恐るるなかれ。
ただしい評価を得ようとしたら、
それは避けては通れない道なのかもしれない。
そしてその評価は道しるべになるのだ。
上辺で生きている者など恐れるな!
傷つくことを恐れない者こそ恐れるべきだ!
うーん…俺に言ってやりたいお言葉…
お前は駄目なやつだぞ…明日面接頑張ろうね…
しかし、太宰って手紙好きだな。
単純な創作よりも、誰かが書いた手紙を書くことに
リアリティを感じていたのかもしれない。
あれ、こんな話、小学校か中学校の授業で聞いたような。
当時は「ふーん」で済ませてしまったか。申し訳ない先生。
太宰に親近感もてました。ありがとう。
何か、今感動してます。
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