読書

記念すべきテーマ「読書」30達成。

一応付け加えておくと、
30冊もの本を読んだわけではない。
短編が多いだけなのだ。

なんか星新一のショートショートを読んでいる気分に
なってきた…オラわくわくしてきたぞ

太宰と芥川は短編が多いので、読むのに時間がかからない
その上、googleでちょっと検索すれば無料で読むこともできます。

興味のある方は是非読んでいただきたい。
そして過去の偉人たちも現代人と同じような悩みをもち
同じような物語に感動していたことを知ってほしい。

そうすることできっと
貴方の心も
少しだけ
軽くなるはずですよ…ウヒヒ
(某セールスマン風)

私が古い作品を読む理由はここにあります

芥川の短編の中でもかなり短い作品
「舞踏会」を読んだ。.

なんとか家の令嬢、明子は。
政治家や有名人からなる舞踏会に参加すべく
はげた親父と鹿鳴館に向かっていた。
初めての舞踏会参加にそわそわした明子だったが。

沢山の菊で飾られた鹿鳴館。

綺麗なドレスに身を包み
胸元には水色のリボン、黒い髪にはバラの花。
そんな明子のその日の美しさは
通りすがりの男が振り返るほどだった。

男の視線を受けて余裕を取り戻す才女、明子。

程なく、仲間の輪に入っていくが
一人の海軍将校に声をかけられる

「踊っていただけませんか」

そして二人の踊りがはじまり、
海軍将校、ジュリアン・ヴィオは
明子を完璧にエスコート。

美しい彼女に媚びる事もなく会話を淡々とこなし。
明子に「何か考え事をしていたわね」と問われると

「当てて御覧なさい」

みたいな切り返しも可能!なんだこの完璧超人。
コミュ症気味のわたくしに爪の垢をください。

時は過ぎ、H老夫人となっている明子。
けしてHな老人に嫁入りしたわけではない。

狙ってませんよね芥川せんせぇ…

面識のある青年小説家と偶然、電車で出会うと
菊の花を見るたびに思い出すという
舞踏会の話を聞かせる明子。

その話を聞いた青年は、海軍将校の名前を聞いたとたんに

「ロティだったのでございますね!」
「あのお菊夫人を書いた小説家ピエル・ロティ!」

青年は興奮気味に話すが明子は
「いえ、ジュリアン・ヴィオという方です」

と返すのみであった。

というお話なのですがつまり、
その後の解説によりますところによれば
ピエル・ロティ(本名ジュリアン・ヴィオ)
という実在の小説家がおり、
実際に日本の夜の舞踏会にも出席した記録もあるようで
著書に「お菊さん」「秋の日本」などがあります。

このお話の明子が実在の人物であり
「お菊さん」なのかどうかは、私の知るところではございません
が、そんな匂いを感じさせる風の作品。

実際どうなんでしょ。

鹿鳴館で、明子の問いにジュリアン・ヴィオはこう答える。
「花火の事を考えていたのです」
「我々の生のような花火の事を」

特権階級のみ参加可能な舞踏会に出席できる立場で
明子のような若く美しい女性を独り占めしながら

「人の命は儚い」

詩人か!口説き文句か!どっちだ!
やさぐれててすいません。

終わり。

読書

愛と優しさの対価とは。
「秋」を読んだ。

才女の姉信子と妹の照子。
そして従兄の俊吉。
姉信子と俊吉には文学という共通点があった。
照子はくっついているだけで話に乗れない時もある。
皮肉屋の俊吉を憎めず、どこか認めているところもある信子。

周囲から見れば信子と俊吉は、相思相愛のようにうつっていた。
大学を出れば一緒になるのではと噂されたが、
別の男と式を挙げ、しれっと地元を出る信子。

俊吉とはなんだったのか。

出先で信子は、旦那と仲睦まじく暮らしているように思えたが
徐々に歯車がずれていく。

そして家族との別れ際、照子にもらった手紙を読むのだ。
照子は自分の為に俊吉を取らなかった信子の気遣いを
わかっていた。

姉の、妹に対しての優しさだったのだ。

照子さえ幸せになってくれればという姉の献身。
しかし旦那との歯車がずれるほどに俊吉を思い出す信子。

そしていよいよ、照子と俊吉が結婚するのだが。

実家に帰り俊吉と信子が再開すると。
やはり、妹、照子が入る余地の無い時間が
二人にはあるのだ

信子と同じように、俊吉もまんざらではない様子。
それに気がついて涙する照子。
さっていく信子

という、なんだろう
昼メロのような内容なのだが。
最後「秋…」という一言で締めくくられる
短い小説である。

この後、この三角関係はどうなるのか!

きっとこのままではいられない!

信子は妹に優しいままでいられるのか!

照子は俊吉を振り向かせることができるのか!

天然ジゴロ俊吉!

ほったらかしの信子の旦那!

愛と優しさの対価とは!

一波乱あると勘ぐってしまうのであります!

しかし続きはないのでした!

オワリ!

読書

芥川の杜子春(とししゅん)。

はるか昔の中国、洛陽(らくよう)でのお話。
洛陽にて、杜子春という男が途方に暮れていると
老人に声をかけられる

「どうしたかね」
「無一文でどうしたもんかと」

素直に答える杜子春。すると老人は言う
「夕日に影をうつして頭の部分をここほれわんわん」

実行してみるとそこには金塊の山が!

一夜にして大金持ちになる杜子春。
そこから家を買い、贅の限りを尽くした生活を始める。

金あるところに人あり。
自然と彼の周りには人が集まるようになり、
洛陽で杜子春の名は知れ渡る事となる。

だが杜子春の金はすぐに底を尽きる。
金がなくなると人は離れていき、そして誰もいなくなった。

またも途方に暮れる杜子春。
するとまた例の老人が現れる。

「どうしたかね」
「前と同じ」
「そうかじゃぁ、前と同じ。でもちょっと下」

夕日に影をうつし、影の腹の辺りを掘るとまた金塊の山!
再び大金持ちになる杜子春。
贅沢三昧でまた人が集まるが金は3年で底を尽きた。

二度同じ過ちを繰り返した杜子春。
同じように途方にくれていると、また例の老人が現れる。

「どうしたかね」
「前と同じ」
「そうかじゃぁ…」

「まて」

杜子春は「もう金はいらない」と言い放つ。
どうやら人に絶望したらしい。

「あなたは仙人でしょう?私を弟子にしてくれさい」
「おうけい」

そうして仙人試験がはじまる…。
とある場所に連れて行かれ
何があってもしゃべるなと命を受ける杜子春。

さまざまな脅しにさらされる事となるが
決して声を上げない。
果ては肉体を失い地獄の閻魔と対面する事となるが
そこで変わり果てた両親と再会する。

「声をださんかー」

両親を痛めつけるひどい閻魔大王。
鬼か。

しかしそこで、母が杜子春を察して言うのである
「気にしなくても大丈夫なのよ~」

肉親の優しさに触れ、ついに声を掛けてしまう杜子春。

とたんに試験は終了。
現実に引き戻される杜子春。

「終了~!到底仙人にはなれまい」

だが杜子春は言う。
「あそこで声をだして良かった」
「もっと大事なものを手に入れたのです」

それを聞いた仙人は言う
「あそこで声出さなかったらお前ぬっころ予定っすよ」
おいおい、袋小路ではないか

最後に仙人は
杜子春に自分が住んでいた家をやると言って
姿を消すのであった。

と言うお話。
杜子春は一人で途方に暮れていたが
金が入ると人が集まる。金が無くなるといなくなる。
それを二度繰り返した事で、
自分ではなく金に人が集まっている
という事に気がついたのかもしれない。

他人に絶望したのか
自分に絶望したのかはわからないが
とにかく杜子春は人が嫌になったのだ

そこで仙人になる決意をしたのだが
その過程で、自らに新しいものを見出した。

最後に杜子春は言う
「人間らしい正直な生活をしていくつもりです」

さて、この杜子春。
かなり普通の男のような気がするのだが
仙人に出会ったことで二度も贅の限りを尽くした生活を体験
地獄の苦しみを味わったものの最後には家までいただいて

ちょっとラッキーすぎやしませんか!
正直うらやましいです。

オワリ。

読書

読みずらい…とにかく読みずらい
芥川の「奉教人の死」
たった10数ページの作品だというのにとても読みずらく
何度挫折しそうになったかわからない

何度か本を開くうちに読むのが嫌になり
ブログでの感想を一言
「誰か説明してくれ」
で終わらせる案まででていた(脳内で

それほどまでに最悪に読みずらい作品
何しろ本来英語であるはずの言葉をローマ字からひらがなに変え
「さんたるちあ」だの「えけれちあ」だの「でうす」だの
「ぜす・きりすと」だのとにかく短い内に頻発しまくる

読みずらいわーっ!!!

こんなんでいいのか世に名を馳せる文豪よ
と問いただしたくなる作品である。

寺院「さんた・るちあ」に「ろおれんぞ」なる人物がいて
この人は飢えて倒れているところを寺院の人間に介抱されたわけだが
聞けば出身は「はらいそ」(天国)、父は「でうす」と言う。

最初は嘲笑されていたものの、
手首には青玉「こんたつ」を巻いており
どうやらそれによって同門だとわかったので
そう怪しい者ではないだろうと「さんたるちあ」に受け入れられる。

ところがこの「ろおれんぞ」、外の娘との噂が立つのである。
いつしか娘は妊娠、その父親は「ろおれんぞ」だとのたまう。

「ろおれんぞ」は否定するものの、ついには寺院を追放され
「えたひにん」、つまり乞食同然となってしまう。

そしてそのあと町は大火に見舞われるのだが、
娘の赤子、つまり自分の赤子と目されている赤子を
身を挺して救う「ろおれんぞ」

まさに命を懸けて子供を救った「ろおれんぞ」の姿に
娘は全てが嘘であったと告白
そして死の間際の「ろおれんぞ」の衣服は焼け焦げて肌が露出
実は「ろおれんぞ」は女性であったという事実がわかり

「ろおれんぞ」に疑いの眼差しを向け、追放した者達は
咽び泣きながら祈りを捧げると言う

そんなお話である。

なるほどそうか!という感想は書けない。
それほどまでに読みにくい作品。
やっと終わった…先にすすめるぞ…という安心感すらある。

太宰の後に芥川を読んでいるわけだが
文豪と呼ばれる人たちの作品の中には
たまにこんな作品があるから恐ろしい…

はっきり書いてしまおう、面白くない!
ただただただ読みにくい!
そんな作品である(爆)

※全国の芥川ファンの太宰様どうもすいません

読書

「旅に病むで夢は枯野をかけめぐる」

松尾芭蕉、辞世の句。
故人となる五日前に読まれた一句

このお話は、芭蕉の最期を囲った者達の
心情を書いたもの。

すでに動くこともできない芭蕉。
静かな雰囲気の中、筆に水をやり、
一人づつ芭蕉の口を濡らして行くのだが
それぞれに思うところあり

例えば師との別れをなんとなく想像していたが
若干の安心感をもってしまった者もいて
それを悟った者同士が目を合わせると
不謹慎なその気持ちを悟られまいと視線をそらす

口にはださない感情の流れというか
そういう微妙な雰囲気が書かれているのだが

天下の大俳人の最後とはいえ
周囲の人間の心情なんて現実こんなもんだよねと
そんな冷めた気持ちで読んでしまっていた

しかし最後の最後にはしっかり
葬儀のような気持ちにさせられてしまい
目頭が熱くなりなんとなく黙祷してしまうような作品

その最後の心情だけが心に残り
それ以外の細かいことはまるで頭に入らず

ん?どの弟子がなんだっけ?

何度か読み直して感想を訂正しようと思ったが
やっぱりやめた

作品がアンニュイな感じだと感想もなんだか…
文章でありながら感情に訴えかけることに
重点を置いた作品…なのか?

あああ。

おわり。